【特別編】ミリアム・アデルソン氏、ダラスマーベリックス買収から新アリーナ構想へ
/米中晩餐会に招待された、ミリアム・アデルソン氏とダラスの関係を考えるうえで、起点となるのはダラス・マーベリックスの買収だ。2023年12月、NBAはアデルソン氏と娘のシヴァン・デュモン氏、その夫パトリック・デュモン氏の家族によるチームの支配持分取得を承認した。現在、チームのNBA理事を務めるのはパトリック氏である。
チームの所有者一族と、上場企業ラスベガス・サンズは、区別して見る必要がある。
この買収がダラスの経済ニュースになったのは、チームの経営権だけでなく、将来の本拠地とその周辺開発に関心が集まったためだ。一方で、報じられてきた新アリーナとカジノ構想は、場所も事業主体も進捗も同じではない。現時点までの動きを整理する。
2023年12月:アデルソン、デュモン両家によるマーベリックスの支配持分取得をNBAが承認。買収は成立
2025年3月:アービング市が旧テキサス・スタジアム周辺の開発に向けた用途変更を承認。カジノを認める内容は、提案から外された
2026年6月:マーベリックスが、ダラス北部の旧Valley View Mall跡地約104エーカーについて購入のためのオプション契約を発表。土地の購入完了やアリーナ建設決定を意味しない。
ダラス北部で動き出した新アリーナ計画
マーベリックスが新たなアリーナと複合開発の候補地に選んだのは、ダラス市内北部の旧Valley View Mall跡地だ。チームは約104エーカーの土地について、購入する権利を得るオプション契約を結んだと発表した。構想にはアリーナに加え、飲食、娯楽、緑地などが含まれる。チームが目指す時期は2031~32年シーズンだが、土地取得、事業計画、資金調達など、実現までに確かめるべき段階が残っている。
経済面では、建設投資だけでなく、試合やイベントの日に人が集まることによる飲食・宿泊需要、周辺不動産への影響が焦点になる。ただし、来場者が増えれば地域全体の消費が同じだけ増えるとは限らない。既存の繁華街から支出が移る可能性や、交通対策にかかる費用も合わせて見る必要がある。
もう一つの論点は、現在の本拠地アメリカン・エアラインズ・センター周辺だ。マーベリックスのリースは2031年に満了する。移転が実現する場合、北部で生まれる事業機会とともに、現在のアリーナ周辺の集客がどう変わるかがダラス市の課題になる。
アービングの開発とカジノは、別に追う
アデルソン氏の家族との関係から、ラスベガス・サンズが関わるアービング市の旧テキサス・スタジアム周辺開発にも注目が集まってきた。こちらはダラス市内のValley View跡地とは別の場所にある。
アービング市は2025年、開発に向けた用途変更を承認したが、提案されていたカジノの要素は採決前に取り下げられた。したがって、新アリーナ候補地がカジノ併設で決まった、あるいはアービングでカジノが承認された、という理解は正確ではない。 将来カジノ事業が実現するかどうかは、テキサス州の法制度を含む別の条件に左右される。
今後、何を見ればよいか
アデルソン氏とダラスをめぐるニュースは、次の三つを分けて追うと見通しやすい。
マーベリックスの新アリーナ:Valley View跡地の購入が完了するか。建設費、資金負担、交通計画、開業時期がどう示されるか。
ダラス市内の経済効果:新施設の周辺にどのような事業が集まり、現在のアリーナ周辺にどのような影響が出るか。
アービングの開発と州法:カジノを含まない開発がどう進むか。カジノに関する州の制度に変化があるか。
現時点で具体的に前進したのは、マーベリックスによるダラス北部の土地購入オプション契約だ。 アデルソン氏のダラスでの影響を測るには、華やかな完成予想図よりも、今後公表される土地取得、資金計画、行政手続きの内容が重要になる。
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