ダラスのリモートワークの変遷ー6年間の軌跡【2020年から2025年】
/2020年から2026年にかけて、私たちの働き方は大きな転換期を迎えました。コロナ禍を契機に急速に広がったリモートワークは、その後、オフィス回帰、フルリモート、ハイブリッド型など、多様な勤務形態へと進化し、企業や個人が柔軟に選択できる時代へと移行しています。
この変化は単なる働き方の多様化にとどまらず、人々の移動や滞在のあり方を変え、オフィススペースの需要、住宅の売買動向、さらには商業店舗や都市構造そのものにも影響を与えてきました。働く場所が変われば、人が集まる場所も変わる。リモートワークは、経済や都市を映し出す重要な社会現象の一つと言えます。
ジェフィロコンサルティングでは、2020年から2025年にかけて「リモートワーク/在宅勤務/ハイブリッド勤務」をテーマに継続的な情報発信を行ってきました。本記事では、それら過去6年間にわたる記事の蓄積をもとに、「リモートワークの変遷(2020→2025)」を時系列で整理してみました。
本記事では、こうした各フェーズにおける企業の意思決定とその背景を振り返りながら、リモートワークが「一時的な対応」から「経営判断の重要な要素」へと位置づけを変えていった過程を整理しています。今後の働き方やオフィス戦略、都市・不動産動向を考えるうえでの参考資料として、ご活用いただければ幸いです。
▼2020年:緊急対応として一気に「在宅」へ(導入期)
2020/3/31:JETRO緊急アンケートで、在米日系企業の多くが在宅勤務に移行している実態を紹介(“まずは事業継続“が主目的)。JETRO緊急アンケート結果、回答企業9割が在宅勤務中
2020/8/8:在宅勤務が続く中で、会議やメールが増え「仕事量が増える」側面にフォーカス(運用の歪みが顕在化)。在宅勤務が続く中で、会議やメールが増え「仕事量が増える」
2020/9/4:リモートワークに向く/向かない都市を、在宅比率・賃料・ネット速度などで評価する流れを紹介(“どこで働くか“が論点化)。リモートワーク、最適と最悪の街は?〜今、米国若者ミレニアムはどう思う?
この時期の論点
会社都合のBCP(感染症対応) → 個人都合の働きやすさ(生活・住む場所)へ、論点が早期に広がり始めた。
▼2021年:リモートは「一時的ではない」へ(定着の兆し)
2021/6/29:在宅勤務のためなら“減給もOK”という価値観や、「在宅は労働市場に永続的に存在する」見立てを紹介。一方で、企業側は文化・モチベーション・イノベーション面から出社回帰も意識 在宅勤務できるならペイカットもOK!?
この時期の論点
従業員:柔軟性を“条件“として重視
企業:カルチャー維持・育成・協働のための出社比率を模索
▼2022年:
ハイブリッドが「新ノーマル」へ(最適化フェーズ)
2022/2/25:大離職時代の求人設計の文脈で、在宅職(特に高給職)の募集比率が急増している点を紹介。リモートは採用競争力そのものに。「大離職時代」に目を引く求人情報を出すヒントとは
2022/6/1:「ハイブリッドが新ノーマル」という整理。ダラスのオフィス復帰率データや、AT&Tが職務を“リモート可/ハイブリッド/出社必須“に仕分ける動きなど、制度の設計に踏み込んでいます。勤務形態の“新ノーマル”はハイブリッド型!?
2022/10/13:企業は出社を求め、従業員は在宅継続を望む“綱引き“が強まる局面を紹介。出社させたい企業 VS 在宅を続けたい従業員!〜今後の働き方はどうなる?
この時期の論点
「フルリモートか否か」ではなく、職務別・チーム別に“最適比率“を設計する段階へ。勤務形態の“新ノーマル”はハイブリッド型!?
▼2024年:
データで見る“定着“と、不動産・都市への波及(成熟期)
2024/5/17 & 6/15:統計記事で、米国の常時在宅の規模感や、ホワイトカラーが望む在宅日数などを整理(在宅・ハイブリッドの需要が根強いことをデータで確認)。2024年のリモートワーク統計とトレンド:アメリカ労働市場の変化と未来予測(前半)
2024/5/22:ハイブリッド定着により、プレイノの大規模オフィスで余剰スペース削減(=不動産戦略の組み替え)が進む事例を紹介。プレイノオフィスの余剰スペース削減計画ーハイブリッド勤務影響 リバティ・ミューチュアル【Liberty Mutual Insurance】
2024/12/14:DFWにおけるリモート普及が、移住・住宅需要・郊外成長など地域経済へ与える影響をまとめ、さらに政府部門のリモートを巡る議論にも触れています。コロナ後のリモートワーク:米国とテキサス州ダラスの最新状況と課題
この時期の論点
働き方の話が、オフィス需要・住宅市場・都市構造の話にまで拡張。
▼2025年:
出社回帰の“号令“と、地域差の同時進行(再編期)
2025/1/6(AT&T):ダラス本社企業がハイブリッドを縮小し、段階的に出社を強める流れを紹介(大企業の方針転換が象徴的)。AT&T、2025年からフルタイム出社を推奨 ハイブリッド勤務を大幅縮小へ
2025/2/4(JPMorgan):大手金融がリモート終了・オフィス勤務の義務化へ、という出社回帰の象徴例。JPMorgan Chase、全社的にリモートワークを終了しオフィス勤務を義務化へ
2025/2/10(北米トヨタ):週4日オフィス勤務の義務化など、製造業・大企業でも出社比率が上がる潮流を紹介。北米トヨタ、9月から週4日オフィス勤務:リモートワーク縮小の流れ
2025/3/6(フリスコ):一方で都市別にはリモート比率が高い場所もあり、フリスコが高いリモートワーク率で注目、という“地域差“を提示。フリスコが全米トップに!リモートワーク率34%で注目の都市に
2025/6/3(日系企業向け):テキサスでのリモート/ハイブリッドを前提に、制度設計(ハイブリッドルール、フレックス、出社の価値再定義、遠隔採用、支援ツール)を提案。テキサス州のリモートワーク動向と日系企業の柔軟性戦略
この時期の論点
“出社回帰“は強まるが、同時にリモートが成立しやすい都市・職種・企業は残る。結果として、企業側は「全面禁止/全面容認」ではなく、採用力と生産性の両立策(制度設計)が問われる。
Gephyro記事で見る「リモート」の大きな流れ
2020:緊急避難として急拡大(BCP・感染対策)JETRO緊急アンケート結果、回答企業9割が在宅勤務中
2021:価値観が変化し、恒常化の見通し在宅勤務できるならペイカットもOK!?
2022:ハイブリッドを中心に“設計と最適化“へ勤務形態の“新ノーマル”はハイブリッド型!?
2024:統計で定着を確認、オフィス・不動産・都市へ波及プレイノオフィスの余剰スペース削減計画ーハイブリッド勤務影響 リバティ・ミューチュアル【Liberty Mutual Insurance】
2025:大企業は出社比率を上げつつ、地域差と制度設計が重要テーマにテキサス州のリモートワーク動向と日系企業の柔軟性戦略
パンデミック下の非常手段として導入されたリモートワークは、業種・職種・企業文化の違いによって異なる進化を遂げてきました。完全リモートを定着させた企業、オフィス回帰を進めた企業、ハイブリッド型を最適解として採用した企業など、その選択肢と背景は一様ではありません。
こうした流れを振り返ることで、リモートワークは「一時的な対応」から「経営判断の重要な要素」へと位置づけが変化してきたことが見えてきます。今後の働き方、オフィス戦略、そして都市や不動産のあり方を考えるうえで、本記事が一つの判断材料となれば幸いです。
