テキサスAIデータセンター投資が加速する理由
/世界のAIインフラ投資と半導体の追い風
2020年代半ば以降、生成AIブームを背景に、世界のAIインフラ投資は急速に拡大していました。
半導体業界団体やWSTSの見通しでは、世界の半導体売上は2026年に約9,755億ドル(約151兆円)と、1兆ドル(約155兆円)目前まで成長するとされ、その主な牽引役がAI向けロジックとメモリで、いずれも前年比30%超の伸びを見込んでいました。
この旺盛な需要に応えるため、クラウド大手やAIスタートアップは、巨額のCAPEXを投じて「AI特化型データセンター」や「AIファクトリー」を各地に建設していました。
AIモデルの学習と推論には膨大な計算資源が必要であり、とくにNVIDIA GPUを大量に搭載した専用施設への投資が集中していました。
こうした流れの中で、テキサス州は最も大きな受け皿の一つとして注目されるようになりました。
テキサス州で相次ぐ大型プロジェクト
テキサス州では、複数のメガプロジェクトが同時並行で進んでいました。
Googleはテキサス州で新たに3カ所のデータセンターを建設し、総額400億ドル(約6兆2,000億円)を投じる計画でした。
OpenAI・ソフトバンク・Oracleによる「Stargate」プロジェクトは、テキサス州アビリーンに10棟のAIデータセンターを建設し、総額5,000億ドル(約77兆5,000億円)規模のインフラ整備を進めていました。
AnthropicはAIインフラ企業Fluidstackと協業し、テキサス州とニューヨーク州などでAI専用データセンターを建設するため、500億ドル(約7兆7,500億円)を投資する計画でした。
OpenAIとソフトバンクグループは、テキサス州で1.2GW級AIデータセンターの電力インフラを担うSB Energyに対し、10億ドル(約1,550億円)の戦略的出資を行い、建設と運用を後押ししていました。
これらがすべて完成すると、テキサス州のAIデータセンター容量は7〜10ギガワット規模に達する見込みとされ、「AIデータセンター大国」としての地位を固めつつありました。
なぜテキサス州に作るのか
テキサス州がAIデータセンターの立地として選ばれる理由は、主に次の4点に整理できます。
1. 安価で大量の電力供給
AIデータセンターは、従来型のクラウド施設を大きく上回る電力を消費します。テキサス州は風力・太陽光・天然ガスを組み合わせた発電能力が高く、産業用途向け電力料金も比較的安いことから、ギガワット級データセンターを複数受け入れられる数少ない州と見なされていました。
2. 広大な土地と税制優遇
テキサス州では、郊外や地方都市周辺に広大な土地をまとめて確保しやすく、変電設備や送電線を含むキャンパス型の拠点を整備しやすい土壌がありました。
さらに、固定資産税の減免などローカルインセンティブも活用でき、例えばテキサス州アビリーンのデータセンターキャンパスでは、一定額以上の投資を条件に最大85%の固定資産税減免を受けられる枠組みも用意されていました。
3. 既存のデータセンター集積とネットワーク
2024年時点でテキサス州には279カ所のデータセンターがあり、そのうち141カ所がダラス・フォートワース地域に集中していました。
既にクラウド事業者・通信事業者の拠点や光ファイバー網が整備されていたことで、新規AIデータセンターもネットワーク接続や人材採用の面でメリットを享受しやすい状況にありました。
4. ビジネスフレンドリーな規制環境
テキサス州は法人税や規制の面でビジネスフレンドリーと評価され、州・郡・市レベルでの経済開発プログラムが充実していました。
アボット州知事は、Stargateを上回るAI関連投資が「未発表案件」として複数控えていることを示唆しており、今後も追加プロジェクトがテキサスに集まるとの期待が高まっていました。
ダラスエリアの位置づけ
ダラス・フォートワース圏は、テキサス州内最大のデータセンター集積地であり、全米でも有数の通信・物流ハブとして機能していました。
AIデータセンター投資の多くはアビリーンやシャックルフォード郡など地方部にも広がっていますが、運用人材・クラウド拠点・ビジネスサービスの多くはダラス圏に集約される傾向があり、今後も「AIインフラの管理・運営拠点」としての重要性が高まると見込まれていました。
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