ダラスの渋滞2017〜2025の変遷 「ランキング」から「都市課題」へ
/▼渋滞対策は「量」から「質」へ
2017年のランキングから始まった渋滞議論は、単なる「都市課題」 → 「運用最適化」 → 「インフラ再投資」 → 「スマート交通」へと成熟してきました。
ジェフィロが追ってきた“渋滞の変革”
2017:渋滞は世界的な都市問題(ランキングの世界
2018:DFWの人口増と、ATMSのような“交通管理”の芽
2019:HOVレーン解放など“運用改善”で即効性を狙う
2022:テキサス全体を俯瞰し、物流ボトルネックも含めて語る
2023:US-75で可変運用(テクノロジーレーン)へ進化
2025:過去最悪水準→道路投資+公共交通・TODの“二刀流”へ
流れを整理すると、
渋滞の“現象”を定量化する段階(2017)
原因と管理を見据えた政策準備段階(2018〜2019)
国レベルの投資支援(2021)
物流・都市全体視点への拡張(2022)
可変インフラ設計(2023)
多層的解決策への転換(2025)
そして今、渋滞は都市の住みやすさを左右する“インフラ×経済×社会”のメガテーマとして位置づけられています。2017〜2025:テキサス(特にDFW)の渋滞は「ランキング」から「都市課題」へ
▼2017:まずは“世界の渋滞”という大きな絵から
渋滞を「都市の病」として世界規模で捉えるところから始まります。
INRIXのスコアカードを根拠に、米国の都市が渋滞ランキング上位に多く入っていること、そしてダラスもトップ20に入っていることが紹介されました。渋滞は“その都市が成長している証拠”にも見えますが、生活者にとっては時間コストが積み上がる、無視できない負担です。
元記事:交通渋滞が世界で最もひどい都市ランキング、米国5都市がランクイン
▼2018:DFW人口増。“悪化するはず”なのに、兆しは一枚岩じゃない
焦点がぐっとローカルに寄り、DFWが米国の渋滞ワーストで10位に入った一方で、前年より順位が改善したこと、そして渋滞で止まっているピーク平均時間が前年より下がったことが語られます。さらに重要なのが、都市の対応としてエリクソンと連携したATMS(交通管理システム)を2020年までに導入する方針が示されている点。「人口増=渋滞悪化」だけで終わらせず、“仕組みで抑え込む”思想がここで登場します。
▼2019:現実解としての「HOVレーン解放」すぐ効く手を打つ
2019年はより実務的にNorth Central Texas Council of Governments(NCTCOG)を引きながら、Sam Rayburn TollwayとLBJ FreewayのHOVレーンが“使用率が低いので解放”へ、しかも全体の94%は解放時間になる見込みと伝えています。「大規模投資」や「未来の交通」よりも先に、まずは今ある車線の運用を変えて詰まりを抜く。DFWの渋滞対策が“運用改善”フェーズに入ったことがわかります。
▼2019〜2021
新型コロナ流行もありインフラの話題が少し静かになりますが、2021年末に大きな展開がありました。
▼2021|米国レベルでのインフラ強化予算が可決
米国議会が道路・交通インフラ整備に総額5,480億ドル規模の予算を承認。
この予算は単なる補修ではなく、渋滞緩和に直結する道路拡幅・信号制御、橋梁強化や物流ネットワーク改善など広範な投資を指向しています。
この予算の意味
各州・都市が渋滞緩和プロジェクトの資金を得られる
長期的に交通データ・ITSの実装を後押し
道路キャパシティだけでなく、信号・管理システムの強
元記事:アメリカ議会、インフラ整備予算5480億ドルを承認!
▼2022:テキサス全体の渋滞像─物流ボトルネックが影を落とす
「都市別の渋滞の深刻さ」という比較視点。2021年にテキサスで渋滞が最もひどかったのはヒューストン、全米16位、ドライバー1人あたり年間46時間が渋滞で失われた推定が提示されます。さらにトラック輸送が滞りやすい道路(テキサス内14か所のうち10か所がヒューストン)という、物流の詰まりが強調されています。
DFWの話だけでなく、「テキサスの成長=道路が産業インフラになりすぎている」構図が見えてきます。
元記事:テキサス州、渋滞が一番ひどい都市
▼2023:ふたたびUS-75へ─“テクノロジーレーン”で可変運用を進める
2019年のHOVレーン運用改善が“次の段階”に進んだ印象です。U.S. Highway 75(Central Expressway)で、利用率の低いHOVレーンを一般レーン化しつつ、平日ラッシュ時は規定人数以上や低排出ガス車/EV向けに戻すという、時間帯で性格が変わる設計。結果として、午前7〜9時・午後4〜6時を除けば4車線→5車線へ。テキサス初の取り組みとして紹介されています。
「作る」より先に「賢く切り替える」。この発想が明確になります。
▼2025:そして“過去最悪水準”へ
渋滞は都市の成長痛から、都市の競争力課題に
元記事:ダラス・フォートワースの交通渋滞が悪化―現状と未来への解決策を解説
北テキサス(DFW)で渋滞が過去最悪水準に達しつつあり、2024年に通勤者が年間69時間を渋滞に費やし、経済損失が1人あたり約$1,600という強い数字が提示されます。渋滞要因として、人口増と都市開発の加速、道路容量の限界、I-35E/I-635/Dallas North Tollway/I-30/US-75など主要路線の慢性的混雑が具体的に挙げられています。
対策は二層構造です。
道路拡張・新設などのインフラ投資(長期計画として総額2,170億ドル規模が可決済み)。
「道路だけでは解決しない」という考え方、BRT、バス専用レーン、ライトレール、TOD(駅とまちの一体再開発)など、車依存からの転換を促す“マルチモーダル交通。
ここで渋滞は、単なる不便ではなく、住む場所・企業立地・都市の持続可能性にまで影響する「都市構造のテーマ」へ格上げされます。
元記事:ダラス・フォートワースの交通渋滞が悪化―現状と未来への解決策を解説
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