ダラス・フォートワースの交通渋滞が悪化―現状と未来への解決策を解説
/近年ダラス・フォートワースを中心とした北テキサス地域では、交通渋滞が過去最悪の水準に達しつつあります。2024年には、通勤者が交通渋滞で年間合計69時間を費やし、経済損失も一人あたり約1,600ドルに上るほど深刻化しています。
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▼渋滞の主な要因
人口増加と急速な都市開発が渋滞の大きな引き金です。新興住宅街やショッピングモール、ビジネスパークが続々と建設され、これに伴いクルマの利用率が上昇。既存の道路ネットワークや高速道路の容量が限界を迎えています。さらに、北部・西部など元々農村だった地域にも急速な都市化が進み、主要幹線道路(I-30, I-20, ダラス北トールウェイなど)が慢性的な混雑状態となっています。
北テキサス地域で特に混雑が深刻化しているのは、ダラス市内中心部およびフォートワース市内の周辺幹線道路です。とりわけでも指摘されているように、「I-35E」「I-635」「ダラス北トールウェイ(Dallas North Tollway)」「I-30」などの主要高速道路および環状線で朝夕の混雑が慢性化。さらに、渋滞が日常化する「75号線(Central Expressway)」や、発展著しいフリスコ・プレイノ・マッキニー方面に通じるルートもピーク時には移動時間が大幅に増加する傾向です。特に新興開発が進む北部~北西部郊外、市街地と郊外を結ぶ幹線(I-20, I-820, President George Bush Turnpike)も深刻で、人口増と拡大する生活圏が慢性的なボトルネックを招いています。
▼対応策と今後の見通し
膨大なインフラ投資による道路拡張・新設が進められています。例えば、連邦・州・地方予算を使ったメガプロジェクトやトールウェイの拡充、総額2,170億ドル規模の長期交通インフラ計画がすでに可決されています。一方で「道路建設だけが解決策ではない」という地元首長や専門家の声も強く、BRT(快速バス)、バス専用レーン、高速鉄道ライトレール導入など“マルチモーダル交通”への転換が急務とされています。
▼都市交通の新しい方向性
今後はDART(ダラス地域交通局)など公共交通機関の強化や、トランジット・オリエンテッド・ディベロップメント(TOD)=「駅とまちを一体で再開発する」試みも拡がっています。車移動一極集中からの転換ができるかどうかが、持続可能な都市成長と経済競争力維持のカギとなるでしょう。
北テキサスの交通問題は住民生活のみならず、住む場所や企業立地にも影響する重要課題です。道路だけでなく、公共交通や都市構造そのものへの持続的な投資と改革が、今求められています。
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参考出典:
Drive time: Billions in road projects aim to ease Fort Worth’s traffic congestion-KERA News
https://www.keranews.org/texas-news/2025-09-29/drive-time-billions-in-road-projects-aim-to-ease-fort-worths-traffic-congestion
You’re not crazy; traffic in Dallas-Fort Worth is worse-Axios
https://www.axios.com/local/dallas/2025/11/03/you-re-not-crazy-traffic-in-dallas-fort-worth-is-worse
Voter Revolt Could Reshape Public Transit in North Texas-Governing
https://www.governing.com/transportation/voter-revolt-could-reshape-public-transit-in-north-texas
The Future of Transit-Oriented Development in North Texas-DART Daily
https://dartdaily.dart.org/posts/post/the-future-of-transit-oriented-development-in-north-texas
