「採用困難な時代」に備える経営戦略 日系企業に求められる、社内人材育成とリーダー強化の本質とは



「ローカルで人が採れない」「採用してもすぐ辞めてしまう」「現地の幹部候補が育たない」こうした声は、私たち日系人材紹介会社が現場で日々耳にしている切実な課題です。

この「人材確保・育成の壁」は、もはや一部の企業だけの悩みではなく、米国全体の構造的な問題となっています。SHRM(全米人材マネジメント協会)の2025年HRトレンドにも、その深刻さが如実に表れています。

▼人材確保から育成へ 採用戦略の常識が変わる

SHRMによると、近年は「待遇改善」や「SNS採用」といった従来の採用施策の効果が限定的になりつつあります。2025年のトレンドでは、外部から良い人材を引っ張るよりも、社内人材の育成・戦力化を重視する傾向が加速。38%の企業が、採用困難なポジションに対し「既存社員のトレーニングで対応」する施策を導入しています。これは今後ますます主流化すると予想され、特に管理職や専門職といった中核人材の育成が注目されています。

また、「学歴条件の見直し」も進んでいます。すでに27%の企業が学位を要件から外しており、そのうち76%が必要なスキル・経験を持つ人材の採用に成功。学歴より「現場で使える力」が重視される時代が到来しているのです。

▼私自身の学び GLOBIS Leadership Programを通じて

このような流れの中、私自身も「どうすれば次世代の現地リーダーを育てられるのか」を真剣に考える機会を得ました。それが、GLOBIS Leadership Program(GLP)への参加です。

このプログラムは、北米・中南米のローカルマネージャーを対象に設計された全12週間の実践型研修で、英語で行われる国際的な内容です。戦略・マーケティング・組織論・財務など、経営の根幹を構成するテーマを、ケーススタディ形式で深掘りします。

週6〜8時間の学習と課題提出を通じ、自社の課題をそのまま持ち込み議論できるのも魅力の一つ。クラスメイトからのフィードバックも刺激的で、リーダーとしての視座が磨かれます。 受講中は、業務と両立しながら学ぶ厳しさもありましたが、「変わりたい」「より良いチームを作りたい」と願う他国の参加者たちと切磋琢磨する中で、自身の思考の癖や、視野の狭さにも気づかされました。 単なる知識習得ではなく、“リーダーとしてどうあるべきか”を本質的に問われる12週間でした。



▼人材育成は経営戦略そのもの 現地リーダーを育てるという選択

今、多くの日系企業が駐在員依存から脱却し、現地人材に業務・権限を移管する過渡期にあります。 その中で、「経営視点を持ち、主体的に動けるローカル幹部」の育成は、もはや“育成の話”ではなく、 生き残りをかけた経営戦略そのものです。 外部からの採用難が続く中、こうした実践的な人材開発プログラムを活用し、内部人材を次世代リーダーへと 育てていく。この姿勢こそ、2025年以降の組織成長の鍵になると確信しています。

▼最後に Quick USAのご支援について

Quick USAでは、人材紹介だけでなく、現地視点に立った人事戦略・人材育成・労務課題対応のコンサルティングを行っています。

・「現地での人材育成プランを立てたい」

・「管理職研修を設計したい」

・「労務制度や就業規則の見直しをしたい」

といったご相談がありましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。皆さまの組織の持続的成長に向けて、全力で伴走いたします。

寄稿:Quick USA Inc. 事業推進部 シニアマネージャー 山岸

クイックUSAは、「アメリカの人事部」を発足し、在米日系企業様向けに、アメリカでビジネスを行う上で必須の法律、人事・労務、ビザなどの最新ニュースをお届けしています。ご希望の方はこちらよりお申し込みください。

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