テキサスインスツルメンツ、シャーマン新工場で本格稼働開始
/ダラス本社の半導体大手テキサスインスツルメンツ(Texas Instruments、TI)が、北ダラスから約1時間の街シャーマンに建設した新300ミリウエハー工場「SM1」で、本格生産を開始しました。 最大約300億ドル(約4兆5000億円)規模とされる投資計画の第1フェーズが動き出し、北テキサスは米国内でも重要な半導体製造拠点としての地位を強めています。
Photo by Texas Instruments
シャーマン新工場「SM1」の概要
場所:シャーマン(ダラス中心部から北へ約60マイル)
規模:300ミリ(12インチ)ウエハー対応工場群の第1棟「SM1」が完成・稼働
投資:サイト全体で最大4棟・総額約300億ドルの長期計画
雇用:フル稼働時に最大3000人の直接雇用を見込む
TIは2022年に起工、2025年に建屋完成と装置搬入を終え、2025年末からアナログ半導体の量産を開始しています。
何を作る工場か:成熟ノードのアナログ半導体
シャーマン工場は、スマホ向け最先端チップではなく、自動車・産業機器・家電向けのアナログ半導体と組み込みプロセッサを主力とします。
対応プロセス:おおむね28ナノメートル以上の“成熟ノード”
主な用途:EV・ADAS向け電源ICやセンサー、産業ロボット、家電・インフラ制御向けなど
TIは「世界の大半のアナログ・組み込み製品は成熟ノードで十分」とし、最先端よりも長期安定供給を重視した投資方針を示しています。
300ミリ化によるコスト・供給面のメリット
TIは2030年までに、ウエハー生産の80%を300ミリに移行する計画です。
チップ取り数:8インチ比で約2.3倍に増加
ウエハー製造コスト:約40%削減
組立・テストコスト:約20%削減
これにより、価格競争力を高めつつ、需要急増時にも自社工場から安定供給できる体制を整える狙いがあります。
テキサス・北テキサスへのインパクト
テキサス州はこの投資を「州史上最大級の製造投資」と位置づけ、インフラ整備や税優遇で支援。 シャーマン市やグレイソン郡は、数千人規模の雇用とサプライヤー・物流企業の進出による経済波及を見込んでいます。
北ダラス〜シャーマン一帯は、自動車・産業機器関連や日系企業も多いエリアであり、「半導体×製造業」のクラスター形成がさらに進むことになりそうです。
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参考出典:
Governor Abbott Announces Texas Instruments' Potential $30 Billion Investment in Sherman
Texas Instruments Breaks Ground on New 300-MM Semiconductor Wafer Fabrication Plants in Sherman, Texas
