ダラスのUberにロボタクシー登場 Avride提携で市内9平方マイルから開始



Photo by Uber/Avride

テキサス州ダラスで、Uberが自動運転スタートアップAvrideと組んだロボタクシーサービスを商用スタートしました。ダラス市内9平方マイル(約23平方キロ)のエリアで、Uberアプリから通常の配車と同じように呼べるのが特徴です。

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サービス概要:まずは安全ドライバー付きでスタート

今回のサービスでは、Hyundai IONIQ 5をベースにした電気自動車にAvrideの自動運転システムを搭載し、ロボタクシーとして運行します。現在は安全ドライバーが運転席に乗る「監視付き運行」ですが、将来的には完全無人運転に移行し、対応エリアも順次拡大する計画です。

運行エリアはダラスのダウンタウンを含む約9平方マイルで、数台規模からスタートし、今後数年で「数百台規模のロボタクシー」にまで拡大する見通しが示されています。

Uberアプリからの使い方と料金

ダラスのUberユーザーは、UberX、Uber Comfort、Uber Comfort Electricをリクエストした際に、条件が合えばAvrideロボタクシーにマッチングされます。アプリ内の設定を変更することで、ロボタクシーにマッチしやすくすることも可能で、「必ずロボタクシーになるわけではないが、選好を上げる」形での利用が想定されています。

料金は、人間ドライバーが運転する場合と同水準で、特別なプレミアム料金は設定されていません。配車が確定すると、ユーザーはUberアプリから車両のロック解除、トランクオープン、乗車開始などを操作でき、到着後に車外からドアを開けて乗り込む流れになります。

実際に使うときの登録や設定について

ダラスでAvrideロボタクシーを利用するのに、あらためて専用の会員登録や別アプリのインストールは不要で、普段使っているUberアカウントのまま利用できます。 ただし、アプリの設定画面で「自動運転車での乗車を許可する」といったオプションをオンにしておくことで、UberXやUber Comfortなどを呼んだときにロボタクシーにマッチしやすくなる仕組みになっています。

支払い方法も通常のUberと同じで、登録済みのクレジットカードやデビットカード、その他の決済手段がそのまま使えます。 ロボタクシーにマッチした場合は、配車確定画面で「Avrideロボタクシーでの乗車」を明示的に承諾するステップが用意されているため、不安な場合は人間ドライバーの車に切り替えることも可能です。

UberとAvrideの提携の背景:配車とデリバリーの両輪

UberとAvrideは2024年に複数年の包括提携を発表し、Uber Eats向けのサイドウォーク配送ロボットと、ライドシェア向け自動運転車の両方で協業を進めてきました。

この提携の一環として、Avrideの歩道走行ロボットはすでにオースティン、ダラス、ジャージーシティでUber Eatsのフードデリバリーに活用されています。

2025年秋には、Uberと親会社Nebius Groupから合計3億7500万ドル(約5,800億円前後)の戦略的投資と商業コミットメントを獲得し、ロボタクシー事業の拡大資金として活用しています。今回のダラスでのロボタクシー商用化は、この大型投資の「第1フェーズ」として位置づけられている形です。

Uberの自動運転戦略の中でのダラス

Uberはここ1年でWaymo、WeRide、Nuroなど複数の自動運転企業と提携し、配車・デリバリーの両面で自動運転の導入を加速させています。すでに、

・アブダビ、リヤド:WeRideの自動運転車
・アトランタ、オースティン、フェニックス:Waymoのロボタクシーといった形で、世界各地のUberアプリ上で自動運転車が走り始めています。

Uberは2026年末までに、少なくとも10都市で自動運転車をネットワーク上に展開する計画で、今後2年でアーリントン、ドバイ、ロンドン、ロサンゼルス、ミュンヘン、サンフランシスコ湾岸地域などへの導入も予定しています。

ダラスはこのグローバル戦略の中でも「北米の主要テストベッド」の一つと位置づけられており、将来の完全自動運転を見据えた重要な拠点です。

ダラス市民・利用者にとってのメリットと注意点

メリットとしては、
・人手不足の時間帯でも配車が安定しやすくなる可能性
・電気自動車ロボタクシーによる環境負荷の軽減
・将来の完全無人運転時には「夜間・早朝の足」の選択肢拡大などが挙げられます。

一方、現時点では、
・安全ドライバーが同乗しているため「完全自動運転体験」ではない
・運行エリアが9平方マイルに限られ、郊外発着の多い利用者はマッチしにくい
・交通ルール順守や挙動の違いに慣れるまで戸惑う可能性といった点もあり、「新サービスとしてまずは限定的に試す段階」と言えます。

ダラスのモビリティの未来像

Uberが将来的にAvride車両の清掃・整備・充電・車両基地運営などを担い、Avrideがソフトウェアとテストを担当する分業モデルは、「自動運転時代のプラットフォーム+オペレーター」の新しい役割分担の試金石になります。

今後、数百台規模のロボタクシーがダラス市内を走るようになれば、通勤・通学・イベント時の移動手段の選び方にも、大きな変化が生まれる可能性があります。

ダラス在住の日本人にとっても、「自宅周辺がサービスエリアに入ったのか」「どの時間帯にマッチしやすいか」などを少しずつ試しながら、既存のUberやLyft、マイカーとの使い分けを考えていくフェーズに入ったと言えるでしょう。

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参考出典:
Uber and Avride launch robotaxi service in Dallas