【Walmart × OpenAI】ChatGPTで“話すだけショッピング”がついに現実に
/2025年10月、世界最大の小売企業ウォルマート(Walmart)がOpenAIと正式提携し、ChatGPT上での直接ショッピング機能を発表しました。ダラス・フォートワース地域だけでも約140店舗を展開するウォルマートが進めるこのAI戦略は、“検索して探す”時代から“会話して買う”時代への転換を象徴しています。
▼ChatGPTで完結する「会話型ショッピング」とは
今回導入される新機能「Instant Checkout(インスタント・チェックアウト)」では、ChatGPTのチャット画面上で質問するだけで、Walmartの商品を直接購入できるようになります。ユーザーは「今夜の夕食の食材を探して」「掃除用品を補充したい」といった自然な会話をするだけで、AIがおすすめの商品を提示し、そのままワンクリックで購入完了。決済はStripeが行い、安全かつスムーズに処理されます。
この仕組みはすでにEtsyやShopifyでテスト導入されており、ウォルマートの参加によって一気にスケールが拡大。今後は複数商品の同時購入にも対応予定です。
ウォルマートCEOダグ・マクミロン氏は次のように述べています:
「これまでのECは検索バーと無数の候補リストが中心だった。これからは、もっと直感的でパーソナルな買い物体験に進む。」
▼いつ、どうやって使える?― 利用時期と手順
利用開始は2025年秋から段階的に展開され、米国内のWalmartおよびSam’s Club会員が対象です。使い方は次の3ステップで完了:
ChatGPTにWalmartアカウントをリンク。
ChatGPT上で欲しい商品や用途を伝える。
AIが提案した商品を選ぶと、即座に決済・配送手続きが完了。
これにより、「検索→比較→カート→決済」という従来の流れが、“会話一本で完了”する買い物体験に進化します。対象は日用品、食料品(非生鮮)、家電、ベビー用品など幅広く、サムズクラブ会員は在庫補充や食材の定期購入にもAIを活用できるようになります。
▼「Sparky」と「Agentic Commerce」― Walmartが描くAI戦略の全体像
Walmartは6月に独自のAIアシスタント「Ask Sparky」を導入済みで、アプリ内で商品の比較・おすすめ提案を行っています。今回のChatGPT連携はその外部拡張版にあたるもので、同社が掲げる「Agentic Commerce(能動的コマース)」戦略を具現化したもの。
これは、ユーザーの購買行動を待つのではなく、AIが“次に必要なモノ”を先回りして提案するという仕組みです。たとえば「お弁当を3日分準備したい」と話しかければ、AIが栄養バランスや分量を考慮し、自動で食材を選定してくれます。
ウォルマートは同社内部でもAI導入を進めており、ファッション商品開発を18週間短縮、カスタマー対応を40%効率化するなどの成果も報告。さらに全社員にOpenAI認定トレーニングを実施し、AIリテラシー教育を組織全体に広げています。
▼ブランド競争の新時代 ― 検索から会話へ
マーケティングの専門家は、この取り組みを「Google SEO以来の購買革命」と評しています。従来の検索エンジン主体の発見方法が、今後はAIチャット上での“回答表示順位”に置き換わることで、ブランド露出競争の新戦場がChatGPT内に移行する見込みです。
一方で、AIがどのブランドを優先表示するかといった透明性の課題も残ります。それでも多くの企業が「AIショッピングへの参入を逃すリスクの方が大きい」と判断し、テスト導入を急いでいる状況です。
▼生活者にとってのメリット
・会話で買える快適さ:検索不要、手間ゼロのショッピング体験。
・パーソナライズされた提案:過去の購買データや好みをもとにAIが最適商品を提示。
・時短と効率化:必要なものがスムーズに揃う新しい購買習慣。
・将来的な拡張性:スマートスピーカー連携による“音声買い物”も視野に。
▼小売の未来は「チャットで完結」する
ウォルマートとOpenAIの提携は、「検索」「広告」「購入」という消費モデルを根本から変える一歩です。AIとの会話を通じて、欲しいものを探し、比較し、支払いまで完結できる時代――それはもう未来ではなく、始まりました。チャット一つで世界最大のリテール網につながる新時代が、2025年秋、私たちの手元にやってきます。
関連記事:
テキサス州、AI拠点として急成長 October 06, 2025
ウォルマートのドローン配送、ヒューストンを含む5都市で新展開!利便性とスピードがさらに進化July 05, 2025
