【iiicareer】テキサスでの採用と報酬設計



アメリカ、とくにテキサス州での採用活動においては、候補者は「基本給」だけでなく 総報酬(Total Compensation) を重視します。

州所得税がゼロで手取りは増えやすい一方、各社の医療保険料や都市ごとの生活コストにより実質的な可処分所得は大きく変動します。

企業にとっては、給与+福利厚生をどう提示するかが採用成功の鍵を握ります。iiicareerでは、企業と候補者の双方が納得できる「総報酬パッケージ」を組み立てることをお勧めしています!

Photo by Radission US on Unsplash

▼テキサスならではのプラス点

1. 税制の特性(所得税のある州から移住した場合)

テキサス州には州所得税がないため、例えばカリフォルニア州から移住して同じ給与を得た場合、実質的な手取りが増加します。

年収ごとの手取り増加(単身の場合)

・年収 $50,000 → 約 2.2%増(+約1,100ドル)
・年収 $75,000 → 約 3.3%増(+約2,500ドル)
・年収 $100,000 → 約 4.5%増(+約4,500ドル)

 高所得層ほどメリットが大きく、採用時のプッシュポイントとなります。

2. 都市ごとの生活コスト差

Dallas や Austin は住宅費が上昇傾向にありますが、ニューヨークやロサンゼルスと比べればまだまだ割安です。

以下は主な都市の COL 指数比較例です(米国平均 = 100 ベース):

・Dallas-Fort Worth:97(平均より 3%↓)
・Houston: 94(平均より 6%↓)
・Los Angeles:151(平均より 51%↑)
・New York: 161(平均より 61%↑)

このような差を見せながら、企業は候補者に対して「同じ給与でも実質的には生活水準が向上する可能性」を示すことができます。

3. 産業構造の特徴

・テキサスは エネルギー・不動産・IT・物流・半導体・データセンター及びAIといった成長産業が強く、どんどんと会社が大きくなっていくケースがほとんどです。
・テキサス証券取引所の開設、ナスダックテキサスの開設で、証券金融の街としても話題を呼んでいます
・成果連動型報酬が一般的で、企業は「成果と報酬の連動」を明示することで人材を惹きつけやすくなります。

例:会社の成長に連なったボーナスの数字を提示するなど、期待値を数値化するのがベスト

▼アメリカにおける採用交渉の前提

アメリカでは、候補者がオファー時に給与交渉を行うのは一般的なプロセスです。

実際、交渉の結果として 提示年収が5〜10%程度変動するケースも珍しくありません。

そのため企業側は、

・どこまで柔軟に調整できるのか
・どこが会社方針で固定されているのか

を明確に整理し、候補者に提示することが重要です。

給与

・基本給
依然として候補者が最も注目する要素であり、企業にとっても柔軟に調整しやすい部分。市場データに基づいて設定することで納得感を高められますが、足りないところは福利厚生などでカバーを!

・Signing Bonus(入社ボーナス)
採用競争が特に激しいIT・営業職種では、入社ボーナスの設定・金額調整が効果的。候補者へのインパクトが大きく、即戦力人材の獲得に直結します。

・Annual/Performance Bonus(業績ボーナス)
基本的な枠は社内で定められている場合が多いものの、オファー段階で割合を調整することで、候補者への魅力度を高められます。

福利厚生

・リモートワークやフレックス制度
Back to Officeが主流となりつつある中でも、個別に柔軟性を認める企業は候補者からの評価が高くなります。給与よりも重視する部分であるというデータも出ているので、柔軟に対応できると差別化につながります。

・有休
日数は規定で固定されている場合が多いものの、Sick Leaveなどは初年度からフルで付与するなどの対応は候補者の会社への信頼につながります。

・交通補助・通勤手当
勤務地や勤務形態に応じて柔軟に対応する企業が増加傾向にあり、とくに都市圏やリモート勤務併用型では差別化要素になります。

企業側への推奨ポイント

「交渉できる部分」と「交渉が難しい部分」を候補者にあらかじめ明示することで、採用時の期待値ギャップを減らせる。

例:「給与はこれ以上交渉するのは難しいが、リモートワークの部分は譲歩できる」など



トータルコストの可視化をしよう

ダラス・フォートワースの ソフトウェアエンジニア の報酬は平均 約 $136,370/年(基本給+ボーナス等)でした。そんな中、健康保険の4人家族プランのプレミアムは 年額 $25,572 に達するとの調査報告がありました。つまり、保険負担率によって手取り額はかなり変わってくることに。

給与が$136,370で家族プランが$25,572の場合の候補者の負担額をみてみましょう。

保険負担率による差と透明性の重要性

会社負担 90% のケース
・企業負担:約 $23,015
・従業員負担:約 $2,557

候補者にとって「給与に +$23,000 相当の価値」が加わる。

会社負担 70% のケース

・企業負担:約 $17,900
・従業員負担:約 $7,672

一般的な水準(70〜75%負担)に近く、候補者に「標準的」な安心感を与える。

会社負担 50% のケース

・企業負担:約 $12,786
・従業員負担:約 $12,786

90%負担との差は年間で $10,000以上。同じ給与でも候補者の「実質手取り」は大きく異なる。

米国全体ベンチマーク(KFF)でみると家族プランは75%負担が標準ライン、80-90%で差別化ができると考えられます。保険額は今後も数%ずつ上がっていくと考えられているので、しっかりとしたプランをもっている会社は重要なアピールポイントです。

透明性のポイント

・候補者は「給与額」だけでなく 企業の保険・福利厚生負担率 も見ている。
・負担率を曖昧に提示すると、候補者は「最悪ケース」を想定し、他社と比較している場合不利になる可能性がある。
・一方、数値で明示する企業は「誠実さ・透明性」が評価され、同じ給与でも高く受け止められることも。

▼まとめ

テキサスでの給与交渉・採用成功には、基本給にとどまらず「総報酬(Total Compensation)」を軸に考えることが不可欠です。

候補者側から見れば、医療保険、株式報酬、柔軟な勤務制度などは交渉次第で大きな差を生む要素です。つまり企業は、給与+福利厚生を見える化し、透明性ある形で提示することが採用成功の鍵となります。市場データやCOL指数を根拠に説明し、医療保険の会社負担額や401k拠出、ボーナスなどを金額換算して提示することで、候補者に納得感と安心感を与えることができます。

iiicareerでは、企業ごとに「総報酬パッケージ(Total Compensation Package)」を作成することを強くお勧めしています。

・基本給+会社負担の保険料+401k拠出+ボーナス・株式報酬+有休・柔軟な働き方を金額換算
・候補者が他社オファーと比較しやすい形に整理し、採用力を強化
・交渉時に「透明性」と「誠実さ」を示すことで候補者の信頼を獲得

「総報酬パッケージ」を整備することは、企業ブランド強化と採用成功の第一歩です。ご興味をお持ちの方は、ぜひiiicareerにご相談ください。

関連記事:
【iiicareer】キャリアの再起動に最適な場所:テキサス州への転職が変える人生の選択肢 Aug 11, 2025
【iiicareer】カルチャーフィットとは?テキサスで働く上で知っておきたい職場文化 July 1, 2025