食品高騰と関税で全米小売はどう動くか
/米国の物価動向と食品価格
米国の消費者物価指数(CPI)は、2025年末〜2026年初にかけて上昇率が2%台後半から2%台前半へと鈍化しており、全体としてはインフレが落ち着きつつあります。
しかし食品だけを見ると、2026年1月時点でも前年同月比で約3%上昇と、全体より高い伸びが続いており、家計にとっては「まだ高い」感覚が根強い状況です。
そんな中連邦最高裁判所では関税は違法との判決も出されました(2月20日)
関税拡大と小売・飲食へのコスト圧力
2025年に導入・拡大されたトランプ政権の関税により、輸入業者や小売・メーカーのコスト負担が大幅に増え、家電や日用品だけでなく、食品・農産物にもじわじわと影響が波及しています。
小売企業は当初、値上げを「最終手段」として吸収に努めましたが、2025年後半以降は一部カテゴリーで価格転嫁が進み、既に関税関連のコスト増を理由に価格を引き上げた企業も出ています。
飲食店・外食産業への影響
輸入農産物や食材に課される関税により仕入れコストが大幅に上昇し、多くの飲食店が「値上げか、利益圧縮か」の厳しい選択を迫られていると指摘されています。
在庫管理や調達そのものが不安定になり、メニューの見直しや営業時間短縮、場合によっては閉店に追い込まれる店舗も増える可能性があると、業界関係者は警戒しています。
小売店舗の閉店動向と「閉店」懸念
2025年時点で、米小売市場ではインフレ環境と消費者の節約志向を背景に、ディスカウント業態へのシフトが進み、従来型の小売業態では閉店数が増加したとするレポートがあります。
信用調査会社ムーディーズは、関税拡大による物価高騰が消費者の財布をさらに圧迫し、今後、小売店の閉店ラッシュが加速する可能性が高いと予測しており、特に価格競争力の低い中小店舗が打撃を受けやすいとみています。
関税と閉店はどこまで直結しているか
現時点で「関税だけ」が直接の原因と断定された大量閉店データは限定的ですが、インフレ・賃金・家賃・オンライン競争など複数要因に、関税コストが上乗せされる「複合要因」として語られるケースが増えています。
一方で、USMCAを活用したメキシコ生産など、関税負担を軽減するサプライチェーン再構築も進んでおり、業態や調達戦略によって「明暗が分かれる」状況とされています。
消費者・専門家の主な見方(2026年初)
専門家の多くは「全体インフレは落ち着きつつあるが、食品や輸入品は関税の本格的な影響がこれから出てくる」とし、2026年後半にかけて消費者が“痛み”をより強く感じる可能性を指摘しています。
消費者の間では「値下がりした実感が乏しい」「特売やディスカウント店へのシフトでしのいでいる」といった声が多く、政治的にも「生活コスト」への不満と、関税政策への賛否が論争の焦点になっています。
ダラスを含む全米ビジネスへの示唆
ダラスを含む全米の小売・飲食事業者にとって、今後1〜2年は「高止まりする食品価格」と「関税コストの本格転嫁」が同時進行する局面となり、価格設定・仕入れ先分散・在庫効率化が重要な経営テーマになります。
日本企業・日系飲食店がダラス市場に参入・継続する際は、関税を回避できる調達ルートの確保、値上げ時の顧客コミュニケーション、そして円安下でのドル建てコスト(1ドル約155円換算)を踏まえた慎重な事業計画が不可欠です。
参考出典:日経 JETRO 流通視察 Budget Lab
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