ロッキード・マーティン、フォートワース拠点で大規模なオフィス縮小とレイオフを実施



2025年7月、ロッキード・マーティンはテキサス州フォートワースのオフィススペースを大幅に削減すると発表しました。一方で、同地域の航空宇宙開発拠点としての役割は継続され、新たな働き方への対応と運営効率の最適化を図っています。地域経済への影響や今後の動向に注目が集まっています。

▼オフィススペース削減の詳細

ロッキード・マーティンはフォートワースのフォッシルクリーク・ビジネスパーク内にある2棟のオフィスビル、5401ノースビーチストリート(約37万5,000平方フィート)と5555ノースビーチストリート(約16万3,000平方フィート)、合計約54万平方フィートのオフィススペースの約60%をサブリースに出す計画です。これはパンデミック後のハイブリッドワークやリモートワークの普及を背景に、オフィス需要の変化に対応したものです。

▼人員削減と業務再編

2024年から2025年にかけて、主にF-35組立工場関連の後方支援や運用管理部門で約300人のレイオフが行われました。しかし全社的な人員削減率は1%に留まっており、引き続き積極的な採用も並行して行われています。フォートワースの従業員数は2019年の約1万7,900人から増加し、現在は約1万9,200人にのぼります。



▼フォートワースの地域特性と経済環境

フォートワースはテキサス州北部に位置し、人口約90万人の大都市圏を擁する工業・商業の中心地です。陸軍基地や航空宇宙産業の集積地として知られ、特にロッキード・マーティンのF-35ライトニングII戦闘機の組立工場が地域経済の中核を担っています。加えて、歴史的なカルチュラル施設や野外イベント、観光も盛んで、産業と文化が共存する活気ある都市です。

▼フォートワースのオフィスマーケットに与える影響

今回のロッキード・マーティンによる大規模なオフィススペース縮小は、特にクラスBビル市場にさらなる供給過多圧力を加えています。2025年上半期には約56万6,000平方フィートの純流出が記録されており、一方でクラスA高級ビルの需要は堅調で市場の二極化が進行しています。地域の不動産市場全体には短期的な影響が予想されますが、中長期的には防衛産業の強固な基盤が下支えとなる見通しです。

▼今後の動きと地域経済への注目

パンデミック以降進んだハイブリッド・リモートワークの定着を背景に、ロッキード・マーティンは運営の効率化と次世代モビリティの開発に注力しています。フォートワースは防衛・航空宇宙分野での技術革新拠点であり続け、同社の人員は堅調に維持・増加しています。地域経済への波及を見極めながら、オフィスマーケットと産業基盤の両面で動向を注視する必要があります。

参考記事:Lockheed Martin downsizes office footprint in Fort Worth

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