住友林業、米国で製材事業に本格参入 ルイジアナ州に木材コンビナート構想
/住友林業株式会社は、米国子会社のSumitomo Forestry America, Inc.(テキサス州ダラス、以下SFAM)を通じ、2024年7月1日付で北米の大手製材企業Teal Jones GroupからTeal Jones Louisiana Holdings LLC(TJLH)の全持分を取得。あわせて、その子会社Teal Jones Plain Dealing, LLC(TJPD)の持分57.05%を取得し、連結子会社化したと発表した。
今回の買収により、住友林業は同社初となる米国での木材コンビナート事業に乗り出す。ルイジアナ州における住宅用構造材(ディメンション材)や、今後の需要拡大が見込まれるマスティンバーの生産を視野に入れた展開となる。
TJPD社が保有する製材工場は、約100ヘクタールの敷地に位置し、年間およそ1,000千立方メートルの原木処理能力を持つ。これにより、一般的な米国住宅約1万4千戸分に相当する約500千立方メートルの構造材などの生産が見込まれている。製品は外部販売のほか、住友林業グループの分譲住宅、不動産開発、FITP(Frame & Truss Precut)事業向けにも供給される予定だ。
さらに、敷地内の未利用地約40ヘクタールには、マスティンバーの製造施設の新設も検討されている。副産物として発生する木材チップや端材は、バイオマス燃料やバイオリファイナリー向けとしての活用も見込む。
製材事業の展開地は、同社がすでに住宅事業を展開するテキサス州とも近く、原材料供給から建材加工、住宅供給までを一貫させる「ウッドサイクル」の米国での実現が視野に入る。特に、同州ダラスは木材需要が旺盛で、FITP事業の拠点や分譲住宅事業(DRB、Bloomfield)、不動産開発のJPI社などグループ各社との連携が期待される。
加えて、原材料にはルイジアナ州周辺で豊富に採れる「サザンイエローパイン(SYP)」を使用予定。地産地消による安定調達が可能なうえ、SYPは関税や輸送コストの影響を受けにくく、コスト競争力の面でも優位性がある。
また、米国では住宅建設分野における人手不足や人件費上昇が顕在化しており、住友林業はFITP事業を活用した工法の効率化により対応を進めている。今回の製材事業の基盤強化により、安定的な資材供給体制の構築がさらに加速するとみられる。
今回の買収は単なる工場の取得にとどまらず、原木から住宅までを一貫して手がける体制の構築を図る、同社にとっての戦略的投資と位置づけられる。今後、米国市場における同社の事業拡大にどうつながるか注目される。
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