「TIME Kid of the Year」にフリスコの高校生が受賞 - 高齢者を守るAIサイト



米国には7,400万人もの子どもがいますが、2025年のTIME「Kid of the Year」に選ばれたのは、北テキサス・フリスコのレバノン・トレイル高校に通う17歳のテジャスヴィ・マノジさん。彼女が注目された理由は、単なる優等生やボランティアだけではありません。日本の読者にも伝えたい“地域社会課題×ITイノベーション”の生きた事例です。

サイバー犯罪から「祖父母世代」を守る――Shield Seniorsの誕生

2024年2月、家族が詐欺メールに直面しそうになり、マノジさんはネット犯罪の現実と向き合うことになりました。米国の高齢者は2024年だけで約50億ドル(約7,400億円)もの詐欺被害に遭っており、平均被害額は33,915ドル(約500万円)。しかも被害者の5人に1人しか当局に通報できていない実態があります。

この社会課題に挑むため、彼女は独自に「Shield Seniors」というウェブサイトを開発。AIを使って怪しいメールやSMSを分析し、不審な場合は通報案内・教育・FAQサポートまで一貫して行います。操作は高齢者向けに大きな文字、シンプルな説明、分かりやすい画面設計。自分の祖父母だけでなく、同じように不安を抱える全国の高齢者が使えるよう、現場から運用を進めています。

フリスコISDの治安と学力の概要

マノジさんが通うフリスコISD(Frisco Independent School District)は、全米でも有数の安全性と学力レベルを誇る学区です。全校で高度なセキュリティ対策が取られ、校内には警察官(SRO)や専任スタッフが常駐し、セキュリティカメラや入校管理システム、IDチェック、匿名通報システムSTOPitなど多層的な安全管理体制が敷かれています。2025年の住民調査でも「学校や地域で安全と感じる」と答えた家庭は9割を超えており、外部調査でも「全米で最も安全な都市」のひとつに選ばれています。また学力面でも、2024-25年度の州評価で最高ランクのAを獲得、卒業率や共通テスト水準、進学率でもテキサス州トップクラスを維持しています。



社会的評価と若き発信力

Shield Seniorsは2024年に「Congressional App Challenge」で優秀賞を受賞し、TEDxPlanoでサイバー防犯について講演するなど、地元コミュニティやAARP(米高齢者団体)、メディアからも注目を集めています。彼女はフリスコやプレイノの高齢者施設でリアルなワークショップ・相談会も実施し、「ITと社会課題の橋渡し役」として世代間コミュニケーションの新モデルを提示しています。また、IT教育のGirls Who Codeへの参加や、地域のEagle Scout取得、ボランティア活動、食料銀行での奉仕なども実践しており、“生きた地域貢献”と“グローバルITリーダー”の両立を象徴しています。

世界と日本のシニアIT教育

米国では近年、Mark Cuban AI BootcampなどIT専門教育プログラムが拡充され、若手による社会課題解決型サービス開発が増加傾向です。特に高齢者向けデジタル防犯サービスは州・自治体の行政支援や各種非営利団体との連携も進んでいます。

一方、日本でも高齢者を狙った詐欺犯罪件数は増加、スマホ利用の普及率上昇にも関わらずIT知識の格差が課題です。こうした米国のIT×社会貢献型イノベーションは、日本の自治体や企業、教育機関にもヒントが多く、世代間の“デジタルギャップ”解消やリテラシー向上策として今後注目されるでしょう。

ソース:
TIME’s Kid of the Year Is Protecting Seniors From Cybercrime
Frisco ISD Security - Safe Schools
Survey Says Frisco's 'Quality of Life', Safety Rank High - Frisco, TX
Frisco ISD receives 'A' accountability rating from state

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