テキサス州の職場における法律や規定③:「職場の安全性」【QUICK USA】
/アメリカでは中央政府(連邦政府)と地方政府(州政府)の権限を分けて統治する国の制度(フェデラリズム)が採用されているため、州ごとに法律が異なります。アメリカ合衆国憲法は、連邦政府と州政府の権限を明確に分けており、特定の分野(通商、外交、防衛、移民など)は連邦政府が管轄し、それ以外の多くの分野は州政府が独自に立法できるものとしています。各州はすべて独自の歴史、文化、経済的背景などを持ち、地域のニーズや価値観に応じた法律を制定しています。
前々回より4回に渡ってテキサス州とその他の州の雇用上における法律や規定などの違いについてシリーズでご紹介していますが、今回は第3弾として「職場の安全性」についてお話しさせていただきます。
前回の記事はこちら↓
★今回ご紹介させていただく法律は2024年7月現在のものとなります。
【職場の安全性】
労災保険について
米国では、50州のうち49州で労災保険の加入が義務付けられていますが、テキサス州だけは、企業にこの労災保険(Workers’ Compensation)への加入を義務付けていない唯一の例外的な州となっています。テキサス州以外の州では雇用主は労災保険への加入が求められ、保険料や給付内容は州により異なりますが、労働者の勤務中に生じた怪我や病気の治療代、逸失給与、死亡などに対して補償金が支払われます。保険料の支払いは、すべて企業が行います。
安全衛生について
テキサス州は連邦によって定められている、働く人々の安全で健康的な労働条件を保証する職業安全衛生法(OSHA:Occupational Safety and Health Act)に従っています。カリフォルニア州はより厳しい基準を持つ独自の州の職業安全衛生プランであるCal/OSHAを制定しています。
参照
https://webapps.dol.gov/elaws/elg/osha.htm
https://www.dir.ca.gov/dosh/WorkersPage.htm
【差別防止法に関する規定】
差別からの保護の適用範囲
テキサス州では連邦のガイドラインが適用されており、求職者、従業員、元従業員は、人種、宗教、出身国、肌の色、家族構成、性別、年齢(40歳以上)、身心障害、遺伝子情報、病歴、ヘアスタイルや天然の毛質などに基づく雇用差別から保護されています。ニューヨーク州では連邦のガイドラインに加えて性的指向、性別自認、婚姻、軍務経験、宗教上での安息日の遵守、勤務時間外での合法的な余暇活動、逮捕歴や過去の有罪判決、家庭内暴力の犠牲者などの追加保護が行われています。
ハラスメント防止研修の要件
テキサス州では州によるハラスメント防止研修は推奨されていますが、義務ではありません。カリフォルニア州、ニューヨーク州、イリノイ州やメイン州などではスーパーバイザー以上の管理職および従業員に対するハラスメント防止研修が企業に義務付けられています。
人事・労務のご相談
今回はテキサス州の職場の安全性についてクローズアップして紹介させていただきました。アメリカでは州ごとに法律が異なっていますので、他の地域にお住まいの方は、ぜひご自身がお住まいになっている地域の法律と比較してみてください。クイックUSAはアメリカでのお仕事探しのお手伝いをする人材紹介・派遣サービスを提供していますが、企業に対しては採用のお手伝いの他、ハンドブックの作成・見直し、ジョブディスクリプションの作成など人事労務関連のご相談も承っております。下記クイックUSAまで、お気軽にご連絡ください。
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【監修】
酒井謙吉 Ken Sakai
President & CEO
Pacific Dreams, Inc.https://pacificdreams.org/