IBM、コッペル拠点を閉鎖 59名がレイオフに(Coppell)
/ダラス近郊コッペル(Coppell)にあるIBMのイノベーションスタジオが閉鎖され、59名の従業員がレイオフとなることが発表されました。この施設は2022年に約1,200万ドル(約1億9,200万円、1ドル=160円換算)をかけてリニューアルされたばかりで、短期間での撤退となります。
IBMは全米でオフィススペースの縮小を進めており、ダラス・フォートワース地域でも今回のコッペル閉鎖によって従業員の一部はオースティンや他拠点への異動を打診されましたが、多くが現実的に受け入れ困難と判断し、レイオフとなりました。コッペル拠点は今後、倉庫など別用途への転用も検討されています。
この閉鎖は、IBM(NYSE: IBM)が人事部門から約8,000人を解雇した数週間後に発表されました。これは、給与処理や休暇申請など、日常的な人事業務の94%を処理する新しい人工知能システム「AskHR」の導入に伴うものです。
IBMのアービンド・クリシュナCEOは5月にウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、「数百人規模の人事担当者をAIで置き換えることで、より多くのプログラマーや営業担当を採用できた」と述べています。
また、最高技術責任者のリー・ジウン氏によれば、IBMは70以上の業務領域にAIを活用することで、過去2年間で35億ドル(約5,600億円)相当の生産性向上を実現したと報告されています。
こうした動きは、テクノロジー業界全体で進行中の大規模な人員削減の一環でもあります。7月2日には、マイクロソフトが全従業員の約4%にあたる約9,000人の人員削減を実施するとの報道がありました。これは同社にとって2023年以来最大規模のレイオフとなります。
▼今回の閉鎖の具体的な影響
・レイオフ対象は59名。53名が8月29日付、残りは11月30日までに退職予定。
・一部従業員にはオースティン拠点への異動が提示されたものの、多くが現実的に受け入れ困難と判断。
・コッペル拠点は今後、倉庫など別用途に転用される可能性も。
IBMは引き続きダラスを営業拠点のハブと位置付けており、今後も一部チームはダラス市内やアディソンなど別拠点で業務を継続します。ただし、今回の閉鎖で「リモートワークからオフィス回帰」への流れが現場で混乱を招いており、今後も追加の再編やレイオフが発生する可能性が指摘されています。
▼コッペルの街について
コッペル(Coppell)は、テキサス州ダラス郡とデントン郡にまたがるダラス・フォートワース都市圏の郊外都市です。人口は約4万人で、住宅地としての人気が高く、治安や教育環境の良さで知られています。ダラス・フォートワース国際空港にも近く、交通アクセスが良いことから多くの企業や家族世帯が集まるエリアです。公園やレクリエーション施設も充実しており、住みやすい街として地元住民に愛されています。
▼まとめ
IBMのコッペル拠点閉鎖は、パンデミック後のオフィス戦略見直しとコスト最適化の一環です。59名のレイオフは、ダラス地域のIT雇用にも影響を与える重要なニュースとなっています。コッペルは住環境・教育水準ともに高い評価を受ける人気の郊外都市で、今後も地域経済や雇用の動向が注目されます。
参考:Dallas Business Journal “IBM to close Coppell office, cut jobs”
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