サブプライム自動車ローン大手トリカラー(ダラス)、破産申請へ



2025年9月10日、米ダラスを拠点とするサブプライム自動車ローン業界の主要企業である「トリカラー・ホールディングス(Tricolor Holdings)」が、連邦破産法のチャプター7(清算法)を申請し、事業の完全清算を行うことを発表しました。本記事では、トリカラーの破産がもたらす影響や業界全体の動向についてレポートします。

▼トリカラー破産の概要

・トリカラーは主に信用履歴のない顧客や、書類上の身分確認が難しい移民を対象としたサブプライム自動車ローンと中古車販売を手掛ける大手企業です。

・チャプター7申請は、事業再建でなく全資産清算目的とした破産手続きに入りました。

・申請された資産・負債は10億〜100億ドル規模、約2万5千〜5万人債権者が存在すると報じられています。

・米テキサス州ノーザン地区連邦破産裁判所に申請し、営業拠点の大半を即座に閉鎖、従業員の80〜90%に休職指示が行われ、給与支払いも停止されました。

▼破産に至った背景と主要な要因

・トリカラーの破産申請の引き金となったのは、大手金融機関「フィフス・サード銀行(Fifth Third Bank)」が主張する約2億ドル規模の遍歴を伴う貸出債権の不正行為疑惑です。

・このため、フィフス・サード銀行だけでも1億7千万〜2億ドルに上る損失が見込まれており、他にもJPモルガンやバークレイズといった大手金融機関も多額の貸倒損失を被る可能性があります。

・サブプライム自動車ローン市場は2025年に入ってから信用不良率が上昇し、業績悪化が目立っていました。こうした中でトリカラーの破産は業界の問題点を浮き彫りにしました。



▼サブプライム自動車ローン業界の現状

・米国におけるサブプライム自動車ローンの60日以上の延滞率は2025年6月に6.31%と過去最高水準に達しており、この数字は今後も業界収益に重くのしかかる見込みです。

・トリカラーの破産以外にも、多数のサブプライム貸し手が経営困難に陥っており、同様の倒産や事業縮小の動きが散見されています。

・業界全体が信用リスクの高まりや資金繰りの悪化で揺らいでいることは、大手金融機関や債権者にとっても深刻なリスク要因です。

▼トリカラー破産が示す教訓

(1)トリカラーのケースは、サブプライム自動車ローン業界の構造的な課題、特に信用リスク管理の甘さと融資審査の脆弱性を如実に示しています。

(2)多額の負債を抱える貸し手企業の破産は、金融機関の貸倒リスクを高める一方、直接の顧客である消費者や従業員に大きな影響を与えます。

(3)今後も業界は信用不良率の推移や資金調達環境の変化により不透明な状況が続くとみられ、関係者における慎重なリスク管理と資本再構築が必要です。

ソース:
"Tricolor Subprime Auto Lender Files for Bankruptcy" - Bloomberg
"Tricolor Auto Acceptance files for Chapter 7 bankruptcy" - Auto Finance News
"Subprime Auto Lender Tricolor Files for Bankruptcy" - Bloomberg Law
"Auto dealer Tricolor files for bankruptcy, moves to liquidate" - Reuters

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