AT&T、ダラス郊外プレイノのレガシーパークを新本社候補地に検討中



2025年8月、通信大手のAT&Tはダラス中心部から約30キロ北に位置するプレイノの「The Park at Legacy(レガシーパーク)」をはじめとした複数の郊外オフィス物件を視察し、新本社や大規模オフィスの移転を検討していることが報じられています。

元JCPenney本社である約107エーカーの大型複合開発地区は、オフィスのほか高層住宅、ホテル、商業施設、自然散策路などが計画されており、従来の単なるオフィスタワーとは一線を画す次世代のワークプレイスとしています。

▼移転検討の理由と企業動向

AT&Tは2008年以来、ダラスダウンタウンの37階建て「ウィテイクラ―タワー」に本社を構え、2030年までリース契約がありますが、ここ数か月で郊外における新規物件の視察を進めています。

その背景には、ダウンタウンの治安問題や従業員の通勤環境改善、リモートワークとのハイブリッド勤務推進などがあり、より生活利便性の高い郊外型キャンパスに注目が集まっています。加えて、近隣のリチャードソン地区でも12年契約で約186,000平方フィートのオフィススペースを拡大しており、地域内での多拠点戦略も進行中です。



▼ダラス市と経済への影響

AT&Tが本社をダラス市外へ移転すれば、ダウンタウンの不動産価値は最大30%下落、年間約6200万ドル(約86億円)の固定資産税収減につながるとの試算もあります。このため、市当局はAT&Tの流出阻止に向けて強く動いており、大きな雇用と税収源を失うのを防ごうとしています。

一方、企業側の視点では、安全性や働きやすさを追求した新オフィスの拠点形成が急務であり、双方の交渉と調整が今後の焦点となります。

▼今後も成長が期待されるプレイノの街

プレイノはダラスの北約30キロに位置する人口約29万人の郊外都市で、テキサス州北部におけるビジネスと生活のハブとして急速に発展しています。トヨタ北米本社をはじめとする大手企業が拠点を置き、豊富な産業・商業施設と上質な住宅地が融合。高層住宅、ホテル、ショッピングモール、公園など多様な施設が揃い、生活の利便性と住みやすさで人気です。

The Park at Legacyの再開発が進み、さらに企業誘致と住環境整備が強化されることで、今後も成長が期待されるエリアとなっています。

このように、AT&Tの本社移転動向はプレイノの企業集積と都市発展のシンボルとなり、テキサス州北部地域の経済成長や不動産市場に大きな影響をもたらす可能性があります。ダラス都市圏での企業誘致競争は激化しており、今後の交渉や都市政策の展開が注目されます。

参考記事:
AT&T scours suburbs outside Dallas for new office, sources say

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