企業本社の移転先はどこ?ダラスが全米トップに
/近年、アメリカ企業の本社移転先としてテキサス州が注目を集めています。
CBREの最新データによると、2018年から2024年の間にダラスは全米で最も多くの企業本社を誘致し、100件の移転を達成しました。対照的に、カリフォルニア州のサンフランシスコ・ベイエリアは156件の本社を失っており、移転の傾向が鮮明になっています。
特に注目されるのは、ダラス・フォートワース地域に拠点を置く上場企業の総企業価値が2024年時点で約1.5兆ドルに達し、過去5年で2倍になった点です。企業誘致の背景には、法人税や所得税の不在、生活コストの安さ、ビジネスフレンドリーな州制度などがあり、カリフォルニア州から多くの企業が南へとシフトしています。
移転先の上位5都市は以下の通りです:
・ダラス: 100件
・オースティン:81件
・ナッシュビル:35件
・フェニックス:31件
・ヒューストン:31件
テキサス州が全体の3都市を占めており、その優位性が浮き彫りになっています。
一方で、企業流出が最も深刻な都市にはサンフランシスコ・ベイエリア(−156件)、ロサンゼルス(−106件)、ニューヨーク(−27件)、シカゴ(−15件)、サンディエゴ(−14件)が挙げられ、オフィス空室率の高さや税負担の大きさが企業の撤退を後押していると見られています。
2024年DFWへの注目移転事例
KFC U.S.(ケンタッキー):ケンタッキー州ルイビル→プレイノへ。
Somnigroup International:Tempur SealyがMattress Firmを買収しDFW新本社に
Cognigy GmbH(ドイツAI企業):サンフランシスコ→プレイノへ。
Aerolane:フォートワースのAlliance空港に本社設立。
TIAA:デンバー→フリスコThe Starへ1,000人規模で移転。
Bell Textron:フォートワース北部にV-280製造工場(6億3200万ドル投資)
Koya Medical:オークランド→ダラスへ本社を移転(220名雇用予定)
Google傘下のVerily、Psychomedics、Resources Connection、IMN EnterprisesなどもDFWへ移転
Simplilearn、Graze Robotics、Assa Abloy Global Solutionsなどがプレイノに移転。
ダラスにおける企業本社の移転増加は、単なる一過性のブームではなく、税制優遇、生活コストの安さ、豊富な人材プールといった構造的な強みが背景にあります。この傾向は今後も継続すると予想されており、ダラス・フォートワース地域は今や米国でも屈指のビジネス拠点として、さらなる成長を遂げる可能性を秘めています。
参考記事:Charted: The U.S. Cities Gaining and Losing Corporate HQs
Dallas-Fort Worth leads US for new corporate HQs
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