テキサス州ダラスとヒューストンを結ぶ2つの輸送プロジェクト



現在大きな転換期を迎えています。自動運転トラックの商用運行が開始される一方で、新幹線型高速鉄道計画は連邦政府の補助金撤回により不透明な状況となっています。本記事では、両プロジェクトの最新動向と今後の可能性について詳しく解説します。

自動運転トラック:ダラス〜ヒューストン間で無人運行開始

2025年5月、米国の自動運転技術企業オーロラ(Aurora)は、ダラスとヒューストンを結ぶ長距離ルートで、運転手のいない自動運転トラックによる商用サービスを開始しました。このサービスは、急ぎの配送や温度管理が必要な荷物の輸送に対応しており、初の顧客としてヒルシュバッハ・モーター・ラインズとウーバー・フレイトが参加しています。これまでの走行実験では、安全確認のために運転手が同乗していましたが、今回の商用サービスでは運転手が乗車しない完全な無人運転が実現しました。

オーロラの自動運転トラックは、コンピューターとセンサーを搭載し、フットボール競技場4個分の距離を見通すことができます。4年間にわたる実証実験では、顧客の荷物1万個以上を輸送し、これまでに1900キロ以上を無人で走行した実績があります。

この取り組みは、ダラスを中心としたテキサス州における自動運転技術の進展を象徴するものであり、今後の物流業界に大きな影響を与えることが期待されています。



テキサス新幹線計画:連邦補助金の撤回と今後の展望

一方、ダラスとヒューストンを結ぶ高速鉄道プロジェクト「テキサス新幹線」は、連邦政府からの補助金撤回により、大きな打撃を受けています。2025年4月、トランプ政権は、アムトラックと連邦鉄道局(FRA)が進めていた同プロジェクトへの6,390万ドルの補助金を撤回すると発表しました。運輸長官ショーン・ダフィー氏は、同プロジェクトを「納税者の資金の無駄遣い」と批判し、民間主導で進めるべきだと述べています。

このプロジェクトは、当初は民間企業テキサス・セントラル社が主導し、日本の新幹線技術を導入して、ダラスとヒューストン間を約90分で結ぶ計画でした。しかし、建設費用の高騰や用地取得の遅れにより、アムトラックが支援に乗り出す形となっていました。今回の補助金撤回により、プロジェクトの進展はさらに不透明となっています

今後の可能性と展望

自動運転トラックの商用運行開始は、物流業界における効率化と安全性の向上をもたらすと期待されています。特に、長距離輸送や夜間運行など、人手不足が課題となっている分野での活用が進むでしょう。また、今後は自動運転技術のさらなる進化により、都市部での配送や公共交通機関への応用も視野に入ってきます。

一方、テキサス新幹線計画は、連邦補助金の撤回により厳しい状況に直面していますが、依然として民間投資家や地元自治体からの支持もあります。特に、ダラスとヒューストンという経済成長著しい都市を結ぶ高速鉄道の需要は高く、今後の資金調達や法的整備が進めば、再び計画が動き出す可能性も否定できません。

ソース:CNNJETROTEXASTRIBUNE

関連記事:
テキサス新幹線計画に暗雲:連邦補助金の撤回と今後の展望 Apr 22, 2025
テキサス新幹線、市議会の反対を受けてダラスのダウンタウンを迂回する可能性 July 19, 2024