CBRE、第一四半期レポート【第2回】

世界最大の事業用不動産サービスおよび投資顧問会社「CBRE」の第一四半期レポートが公開された。

本記事は第2回目の配信となる。第一回配信はこちら

▼クラスA物件の空室率は3期連続で安定

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クラスAの空室率は5.5%と3クラス中最も高かったが、3期連続で横ばいの結果となった。クラス B (4.4%) とクラス C (4.0%) の空室率は前四半期比でわずかに上昇したが、2020 年第 1 四半期のレベルと同等であった。
クラス B 及び C の賃借人は、クラス A 物件の賃借人よりも 2020 年に失業の影響を受たが、住宅の選択肢が少なく、仕事の柔軟 性が低いことから、引っ越しが少い傾向があった。 また、立ち退き禁止令により、収入の損失にもかかわらず、多くの賃貸人が 同じアパートに留まることとなった。 さらに、景気後退により、手頃な価格の住宅への需要が高まり、クラス A 物件は引き続 き新規供給との競争に直面している。
郊外のサブマーケットは2021年第1四半期も引き続き都市のサブマーケットより良い結果となった。都市部のサブマーケットは 人口流出の影響を大きく受けている。CBRE調査員はより多くの会社員がオフィスに戻ることにより、都市のサブマーケットが 回復すると予測している。

賃料上昇率は南⻄部が1位 

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米国の6つの主要地域のうち、マウンテン ウエスト(南⻄部)の賃料上昇率が最も高い 結果となった。南⻄部の都市7つのうち6つ が前年同時期に比べ賃料が上昇、7都市全 ての賃料が前四半期に比べ上昇した。
南東部の賃料上昇率が2番目に高く、18都 市中15の都市で前年同時期に比べ賃料が上 昇、17の都市で賃料が前四半期に比べ上昇 した。
テキサスを含む中南部では9つの都市のう ち3つが前年同時期比で賃料が上昇、9つの うち8つが前四半期比で上昇した。
より大きな市場 (175,000 戶以上の都市) の中で、第1四半期の年間賃料上昇率が高 かった都市は、インランド・エンパイア (9.4%)、フェニックス (5.3%)、ラスベガ ス (4.9%)、タンパ (4.5%)、アトランタ (4.0%) 、デトロイト (3.8%)であった。 

昨年に比べ投資額は12%減少 

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第 1 四半期のマルチファミリー投資額は合計 355 億ドルで、前年比 12.0% 減、第 4 四半期合計の 625 億ドルから 43.2% 減少 した。
マルチファミリーの在庫上昇により、投資額は第1四半期後半に大幅に増加した。特に投資家間で郊外の物件への興味が高まっ ており、キャップレートが引き下がる結果となった。
リアルキャピタルアナリティクスの調査によると、第1四半期にマルチファミリーのキャップレートが0.1%低下した。しかしな がらCBRE投資動向調査では特にフェニックス、ダラス・フォートワース、オースティンなど注目が集まっている投資市場で キャップレートの向上が予想されている。
マルチファミリーは第 1 四半期の商業用不動産投資総額の 36.7% を占め、続いてオフィスが 21.2%、産業用が 20.3% であった。
市場パフォーマンスの向上や新規購入者の参入により、今年後半にはマルチファミリーの投資額が増加すると予想される